昨年は8月の豪雨災害や9月の台風15号等によって記録的な大雨による河川の氾濫により、住宅の全壊や浸水など未曾有の災害が発生しました。最近では「数十年に一度の大雨」といった報道も珍しくなくなり、「命を守る行動をとってください」といった新たな防災情報の発信がなされるなど、改めて地球規模での異常気象に目配りをしていく必要性を感じています。

今年に入り、中国武漢地方を中心として、新型コロナウィルスによる肺炎の感染症患者が集団発生し、日本や世界各国へと蔓延する状況となっています。2月中旬に入り国内でも感染者の死亡が発表され、2月29日現在クルーズ船を含む感染者が939人、死亡者が11人となっています。これにより、世界の金融市場の動揺が止まらず、株価は急落し、景況感悪化が心配されるところです。

さて、我が国全体に及ぶ少子高齢化人口減少が進む中で、地方における町づくりを進める方策にも変化が求められており、そのための地方行政のあり方として、地域の総力を結集して人口減少がもたらす課題に対応することが示されています。本町においてもそれを実現していくためには、地方創生や社会保障の充実を一層推進していく必要があることから、町では5年間の「人口ビジョン」及び「総合戦略」に沿って事業を展開してきました。また令和元年度に総合戦略や人口ビジョンを網羅した新たな総合計画を策定しましたので、その計画を核として他の地域から人を呼び込む、人の移動を加速させる政策をさらに進めていきます。

これまでも事業計画に沿って各事業を進めてきましたが、本年度は、学校教育の充実と在宅未就業者等の就業機会の拡大を目指した親子プログラミング教室やITセミナー等の開催、資料館周辺の地下作戦室・無線室の照明工事、木綿葉大橋橋面補修事業、ふるさと納税事業の拡大など、これまでの政策と融合させ、「人の和を大切にし、老いても安心して暮らせる町。若人に夢と希望が持てる町」に向って、全力で取り組んでいきます。

また、自主性・自立性を発揮して様々な施策を着実に実施していくためには、何よりも財政基盤の強化が不可欠です。各交付金や町税について全てが順調に伸びているわけではありませんが、これまで同様ゴルフ場利用税交付金の堅持はもとより、国の制度改正の情報収集に努め、財源の確保に努めます。

 

当初予算

本年度は、一般会計において約57億3400万円、前年度との比較では約10億4千万円、率にして22.3%の増となりました。これは昨年度の当初予算の編成が骨格予算での編成だったこともありますが、ふるさと錦ゆかり基金事業1億2千万円、錦ネット通信事業1億2600万円、ふるさと納税事業約8千万円、新設道路改良費3億7千万円の増などが主な要因です。

 

財政状況

本町の財政は、ここ数年は財政指標が改善してきていましたが、平成30年度決算においては、一部の指標では悪化したものもありました。

まず経常収支比率は、89.3%と前年度に比べ0.5ポイント上昇しました。今後は、水道事業や下水道特別会計への繰出金の推移に注意が必要であり、経常的経費全体の増加抑制努力が重要です。次に実質公債費比率は、9.1%(3カ年平均)と、前年度と同数値となりました。今後は、昨年開通した人吉球磨スマートIC整備他数次の経済対策等で借り入れた町債の元金償還の開始などにより、一時的には上昇も考えられますので、比率の悪化につながる町債の借り入れ等については十分留意していきます。次に将来負担比率は、85.5%と前年度に比べ5.9ポイント低下し改善したものの、公営企業会計の繰入金が増加傾向にあります。今後の使用料金改定と併せて水道・下水道加入者の増を図る方策を検討するなど繰入金の抑制に努めます。

平成30年度末の財政調整基金等の積立金は、約19億520万円と前年度に比べ約5800万円増加しました。郡内平均の30億1800万円と比較すると決して多額とは言えませんが、今後も将来の大規模事業や災害等不測の事態への対応を考慮し、住民ニーズへの対応にも十分配慮しながら、財源確保が可能な範囲で積み立てを行っていきます。

財政状況の改善については常に重要事項として受け止めており、議員及び町民各位のご理解とご協力を得ながら、健全財政を維持しつつ住民福祉の向上に努めていきます。

 

《農業》

農業従事者の高齢化が進む中、法人経営、集落営農、新規就農など多様な担い手の育成・確保を進めていきます。町独自の担い手支援給付事業では、新たに2人が事業に取り組み、現在10人の実績となっています。

さらに、人・農地プランの実質化(農地の担い手の明確化)を通して、中心経営体への農地集積・集約化を関係機関とともに進めていきます。

 

(取り組み事例)

 ・担い手支援給付事業

 ・中山間地域等直接支払事業

 ・多面的機能支払交付金事業

 

《畜産》

引き続き和牛子牛の販売価格は弱含みながらも高値で推移しています。今後も関係機関と協力して、飼養頭数の増頭及び優良牛を確保できるよう、国の施策も活用しながら、畜産農家の育成と経営の安定を図ります。

国内外で依然として発生が見られる家畜伝染病については、各農場での飼養衛生管理の徹底を図るとともに、防疫体制の支援を行っていきます。

 

(取り組み事例)

 ・飼養管理技術の向上

 ・耕畜連携による自給粗飼料の生産拡大

 ・低コストで高品質な子牛生産

 ・優良子牛の自家保留牛助成事業

 ・肥育素牛導入事業

 

《園芸作物》

天候や自然災害の影響を受けやすく、厳しい生産環境となるため、耐候性ハウスの設置及び強靭化に取り組み、また葉タバコをはじめとする工芸作物についても、単収及び品質向上、安定的な生産・出荷を推進するとともに、販売体制の強化を図る取組等を支援し、安心・安全で消費者に信頼される産地づくりに努めます。

 

《有害鳥獣対策》

生産者の営農意欲が低下することがないよう、有害鳥獣対策協議会などと連携して、有害鳥獣の駆除や追い払いを継続し、農作物への被害の軽減を図ります。

 

(取り組み事例)

 ・侵入防止柵等の購入に対する補助

 

《林業》

昨年度から交付が始まった森林環境譲与税を活用し、作業道などの整備を行い、森林の持つ多目的機能の確保を図りつつ、新たに施行された森林経営管理制度の運用により、意向調査の本格実施・分析を行い、レーザー測量をもとに整備した林地台帳を活用し、木材の安定供給体制の確立、雇用の増大を通じた活性化、担い手の育成、木材の利用を通じた林業経営の基盤づくりを進めていきます。

 

《商工業の振興》

熊本地震後の復旧需要は減少しているものの、再開発案件を中心に設備投資は高水準で、各種政策効果や復興需要等を背景に景気は緩やかに拡大していますが、労働需給は引き続き逼迫している状況にあり拡大の動きが鈍化する懸念があります。管内でも、有効求人倍率はここ数年高い水準にあり、全体的に人手不足の状況ですが、職種による求人倍率の偏りから、新卒者等とのミスマッチが生じており、労働力の管外・県外流出が進んでいます。

今後も、商工会、金融機関等の関係機関と連携しながら、町内商工業等の地域産業の支援により雇用増加を図り、町の産業の活性化を推進します。

 

(取り組み事例)

・起業者等に対する補助

・商品券発行事業の助成

 

《企業誘致》

「人吉球磨企業誘致連絡協議会」において管内市町村と連携協力し、企業訪問や先進地視察等参加し情報収集するとともに、県の施策や町独自の支援を組み合わせながら昨年度運用を開始したサテライトオフィスを含め、誘致に向け事業を進めていきます。昨年度開通した、スマートインターチェンジの交通の利便性も積極的に発信していきます。

 

《移住・定住》

空き家バンク制度により空き家等を有効活用するとともに、移住・定住に係る補助制度や移住体験施設について、ホームページ等によるきめ細やかな情報発信を行いながら促進を図ります。

 

《ふるさと納税》

昨年度もお礼品やポータルサイトの拡充等を進め、1億円を超える過去最高の寄付額となりました。今年度も取り組みを継続しながら各種媒体等を通じた広報宣伝も行い、寄附額の確保に努めるとともに、企業版ふるさと納税についても取り組んでいきます。

 

《観光》

人吉海軍航空基地資料館について、地方創生交付金により施設の増設及び基地跡周辺の環境整備を進め、平和についての学びの拠点として、また観光拠点として機能強化を図ります。さらに、昨年度に引き続き、日本遺産を軸とした人吉球磨地域が一体となった観光地域づくりの取り組みや県南15市町村とも連携し、更なる交流人口の拡大を図り、観光消費による経済効果を生み出す仕組みづくりを目指します。

 

《少子化対策》

全国的に進む少子高齢化は、医療や介護、年金といった持続可能な社会保障制度を確立していくうえで、極めて重要な問題となっています。

本町においても人口が1万500人台となり、高齢化率も32%台に達した状況で、人口減少対策の一つとして子育て世代への支援は重要な行政課題となっています。

昨年10月から幼児教育・保育の無償化が始まりました。今年度からは副食費の無償化に取り組みます。子ども医療費助成は、対象年齢の拡大、償還払いから現物給付へと変更しました。引き続き、子どもを安心して育てられる環境づくりを進めていきます。

《障がい者福祉》

「錦町障がい福祉計画」及び「錦町障がい児福祉計画」に基づき、障がいをお持ちの方々が地元地域でそれぞれの適性や能力に応じて自立した生活を送ることができるよう、また地域の一員として積極的に社会参加ができるよう、様々な障がい福祉サービスを提供するとともに、地域全体で障がいのある方々の見守りや支援を図っていきます。

 

《高齢者施策》

本年度は団塊の世代の方がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え、策定を進めてきた「第7期錦町高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の3年目の最終年度にあたります。第7期計画を総括し第8期計画策定に向けて今後も「老いても安心して暮らせる町」を目指し、さらなる「地域包括ケアシステム」の深化・推進に向けて取り組んでいきます。

 

(取り組み事例)

・「ひだまり館」を活用した介護予防教室及び地域での通いの場の充実

・高齢者の生活状況を把握するための訪問事業

・「いきいき百歳体操」の普及促進

・介護予防サポーター及び地域ボランティアの確保・育成

 

《認知症施策》

若い世代からの認知症の理解促進を深め、認知症の方を地域で見守る体制づくりに努めます。また、平成29年度に発足した「認知症初期集中支援チーム」を主体として、認知症の早期発見・診断・治療など、認知症高齢者の実態に応じた適切なケアを進め、家族介護者に対しては、認知症への理解促進と「認知症カフェ」の連携により、認知症高齢者の平穏な日常生活と家族介護者の負担軽減に取り組んでいきます。

 

(取り組み事例)

 ・認知症サポーター養成の継続実施

 ・認知症声掛け・見守り訓練の実施

 

《生活支援》

高齢者タクシー利用料助成事業や「かいモン号」による買い物支援対策等を引き続き行い、利用者の利便性の促進を図るとともに、軽度生活援助の安定的なサービス提供の構築を図っていきます。

 

《健康の保持増進》

平成30年度から国の政策によって市町村国保の財政を県も担うこととなり、財政の安定化が図られることになったものの、医療費の削減に努めることをより一層求められることになりました。

本町においても他の市町村同様、国保医療費及び介護費用が依然として増加傾向にあります。要因は、生活習慣病の重症化に因るものです。生活習慣病を早期に発見し、病気の発症や重症化を予防することが急務ですが、いずれもそれは「健診」から始まるもので、健診を継続的に受けていただくことが「健康の保持増進における第一歩」と考えます。

休日健診や施設健診などの健診機会の拡充や、19歳からの基本健診の取組により、より多くの町民の皆さんに受診していただける体制づくりに努めます。

健診後の保健活動については、個人の健診結果に基づき、保健師・管理栄養士が、より細かいサポートを行っていきます。また、食生活改善推進員・健康推進員等、健康づくり団体と協力し、地域の中から健康への意識が高まっていくよう意識の醸成を図ります。

 

《歯科保健》

歯科衛生士による専門的な指導とともに、現行のフッ化物塗布や洗口によるむし歯予防に努め、妊娠期から壮年期、高齢期までの歯周病検診に取組み、生涯を通した歯科保健の推進に努めます。

 

《ごみ環境対策》

人吉球磨地域は一体となってレジ袋削減やごみの排出抑制と資源の有効利用を図るため、人吉球磨地域が一体となり、ごみ減量・リサイクル推進事業を展開しています。

本町においても、ごみ処理にかかる経費を削減するため、生ごみの水切り徹底やごみ分別の徹底・向上など資源物回収の住民啓発を図り、再資源化を推進しながら環境へ負荷の少ない循環型社会の形成に努めます。

 

《教育の振興》

 子どもは未来を担う地域の宝であり、地域創生の活力の源です。「生きる力」を育み、外国語教育と伝統や文化に関する教育の充実に努めています。

 現在の恵まれた環境の中でいかにして子どもたちの学力の向上を図っていくかが今後重要です。

 

《学習支援》

各学校に教育支援員等を配置し、通常学級・特別支援学級等の学習支援を行い、学校教育充実のための施策に取り組んできたところですが、本年度も子ども達の学力向上のため、一層の力を注いでいきます。

今年度から、新学習指導要領により、小学校3・4学年では外国語活動、5・6学年では英語科の新設や小学校プログラミング教育が行われます。そのことから、各事業で研修や講習会などを実施し、円滑な導入に向け取り組んできました。子どもたちに解りやすい授業になるよう教職員の研修に努めます。

外国語教育はますます重要となります。平成30年度から外国語指導助手を3人体制にし、日常会話を中心としたコミュニケーション能力の向上を図っており、これからの国際化社会に対応できる人材の育成に努めます。平成26年度から取り組んでいる小・中学校のICT機器を活用した教育についても、より一層の活用を図り子ども達の学力向上に取り組みます。

また、小中学校に2人以上在籍している子ども2人目以降の給食費半額補助や就学援助費助成など、子育て支援については継続して行っていきます。

小学校運動部活動の社会体育移行に伴い、小学生の運動不足が懸念されますが、学校単位及び町全体での運動推進のための活動計画を策定し、授業間の休み時間や昼休み及び放課後を活用した運動の推進を図ります。また、既存の競技団体と連携しながら体制整備を行い、地域の受け皿となるよう運営への支援を行います。

これらの事業を推進し、子ども達の学力向上を図るとともに、本年度も学校・家庭・地域社会、そして行政が緊密な連携を保ちながら、人間性豊かな郷土愛に満ちた心身ともに逞しい子ども達の育成に努めます。

 

(取り組み事例)

 ・プログラミング教室の実施

 ・指導主事の配置による教職員の指導力向上

 ・町内の小学校間での交流学習

 ・学生ボランティアによる学習支援

 ・長期休業期間の学習支援

 

《社会教育》

人権尊重の精神を基盤にして、町民すべてが「人の和を大切にし、老いても安心して暮らせる町、若人に夢と希望が持てる町」を目指して、生涯学習を推進しながら、県の補助を受け専門に配置している地域人権教育指導員を今年度も引き続き雇用し、人権教育の充実と更なる啓発を図ります。

にしきセミナーでは、さまざまな分野から講師を招き講演会を開催するほか、活き活き大学等の内容をさらに充実することで、それぞれの分野でのリーダー育成と地域コミュニティーづくりに取り組んでいきます。

図書館については、町民が読書への関心を深め、気軽に利用できる環境づくりや、移動図書の利用啓発や返却を容易にするため、コミュニティーセンターに返却ボックスを設置するなど利用促進に努めていますが、今後も読書量日本一の町を目指して改善を図っていきます。

社会体育については、高齢化や少子化に伴い、近年参加が難しい分館もあることに鑑み、町民体育祭をはじめ町内の各種スポーツ行事を工夫改善しながら、地域の連携と生涯スポーツの推進に努めていきます。

 

《消防・防災体制の整備》

ここ数年は毎年のように国内各地で梅雨期の豪雨や台風による災害が発生し、河川の氾濫や堤防の決壊といった事態となり、多くの尊い生命や財産が失われ、甚大な被害が発生しています。災害時の的確な避難行動等地域防災計画に基づき、消防本部・消防団・自主防災組織等、関係機関とのより一層の連携を図り、災害時における緊密な協力体制を構築していきます。

 

《消防団》

人口の減少に伴い入団する若年層の減少は避けられない現実にあります。統合再編した組織の活性化を図りながら、機能別消防団員・女性消防団員の募集を継続するとともに、機能を強化するための方策を検討していきます。

 

《社会資本の整備》

水道事業については独立採算の原則に基づき合理的かつ持続可能な経営を図り、引き続き未加入地区への接続を推進します。

下水道整備区域内においては下水道への接続を推進し、従量制への移行を行います。区域外においては浄化槽設置への取り組みを積極的に行い、生活排水環境の整備を図ります。

公営住宅については、建築年数が経過している住宅があることから、長寿命化計画に基づき事業を進め、本年度も指杉団地の外壁改修工事を行い、居住性の向上を図ります。

耐震対策として、戸建て木造住宅耐震改修及びブロック塀等耐震化支援事業補助制度の活用推進を行い、地震に対する安全性の向上を図ります。

道路の整備については、整備効果を検証しつつ事業を計画的・効率的に進めていきます。橋梁については近接目視による点検結果に基づき、補修・修繕を計画的に行い適切な維持管理に努めていきます。

また、住宅リフォーム補助制度については、地域経済の活性化と居住環境の向上のため、引き続き行っていきます。

防犯灯については毎年各区より要望があっておりますが、今後も段階的に整備していきます。

 

 

 

お問い合わせ

企画観光課
電話:0966-38-4419